LUCEのはじまり
2020年。
当たり前の日常が突如としてなくなりました。
銀座で40年以上飲食店を営んで来た私たちにとって、
毎日たくさんのお客様の笑顔に囲まれて過ごしてきたあのにぎやかな街が、
来る日も来る日もひっそりと静まり返っている光景は信じ難いものでした。
いつ終わりが来るともわからない暗いトンネルの中にいるような日々が続き、
一人、また一人と、旧知の店主が街を後にする知らせが届く。
そのたびに胸が締め付けられる思いがしました。
コロナ禍は、収束の兆しが見えたかと思えば次の波が訪れ、
いつ終わりが来るのか見当もつきません。
それに今回乗り切ったとしても、また違う困難が訪れないという保証はないのです。
このまま嵐が過ぎ去るのを待っているだけではいけない。
愛するこの街のために何かできることはないか。
お店でお会いすることは叶わなくとも、何かお客様と繋がれる方法はないか。
お客様と銀座の絆を結び続けるために、今できることを考え始めました。
増えた家族との時間
この苦しい時期にいいことがあったとすれば、
外出ができなくなったことによって、家族との時間が増えたことです。
特に、不安な日々の中変わらない笑顔を向けてくれる大切な家族である愛犬との時間は、
明日への励みにもなり、かけがえのない癒やしのひとときとなりました。
幼い頃からずっと犬と生活をともにしてきて周りに愛犬家が多かったこともあり、
その人たちと、家族のためにできることを探すことにしました。
愛するパートナーと、
銀座を楽しむ
私たち飲食店の周りには、たくさんの支えてくれている人たちがいます。
お店が営業できないということは、その方々も同様に苦しんでいるということです。
たとえば生産者の方たち。
私たちに変わらぬ美味しさを届けるために精魂込めて作ってくださった食材が、
行き場を失って廃棄されるというのは、とても辛いことです。
何とか、そんな周りのみなさんとともに街に元気を取り戻す道はないか。
お客様に銀座に来て頂くのが難しいのなら、銀座をお客様にお届けすれば良いのでは?
しかもこの方法であれば、普段はお留守番している愛犬や愛猫と一緒に
銀座を楽しんで頂くことができます。
傍らで見上げている愛犬に、馴染みのお店を紹介できるかと思うとワクワクしました。
そんな体験を全国の方に楽しんでいただけるようにと、
お店のスタッフや、長年お付き合いのあるお店にお声がけし、
『LUCE GINZA』が誕生致しました。
ささやかでも、確かな光に
はじめてのことばかりで、何をするにも試行錯誤。
当初の予定より時間がかかってしまいましたが、こうしてみなさまにお届けする準備が整いました。
『LUCE(ルーチェ)』とは、イタリア語で『光』を意味します。
LUCE GINZAが、銀座のお店と、全国の愛犬家、愛猫家の方を繋いで照らす光になれたら
こんなに嬉しいことはありません。